2019年12月に実施された「第70回計量士国家試験問題」の解答と解説になります。
問題文及び解答は経済産業省のHPにある「過去の計量士国家試験問題」から引用しています。
解説は私の見解になります。解説が間違っている可能性もありますので、予めご了承ください。
どうやって勉強を進めればいいのかわからない方はこちらの記事も読んでみて下さい。
問1~5の内容は?
「環境計量に関する基礎知識(化学)」の問1~5の内容は以下の通りです。
- 問1 環境基本法
- 問2 大気汚染防止法(1)
- 問3 大気汚染防止法(2)
- 問4 水質汚濁防止法(1)
- 問5 水質汚濁防止法(2)
法律に関しての内容です。
問1 環境基本法
問1
環境基本法第16条に規定する「環境基準」に該当しないものを次の中から一つ選べ。
- 大気の汚染
- 振動
- 土壌の汚染
- 水質の汚濁
- 騒音
解答
2. 振動
環境基本法第一六条によると、
政府は大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染及び騒音に係る環境上の
環境基本法第一六条より引用
条件について、それぞれ、人の健康を保護し、及び生活環境を
保全する上で維持されることが望ましい基準を定めるものとする。
と定めています。
選択肢の「振動」のみ環境基準に該当していません。
問2 大気汚染防止法(1)
問2
大気汚染防止法第4条第1項において、条例で、大気汚染防止法第3条第1項
の排出基準で定める許容限度よりきびしい許容限度を定めることができない
物質を次の中から一つ選べ。
1 カドミウム
2 ばいじん
3 弗素
4 いおう酸化物
5 塩素
解答
4 いおう酸化物
大気汚染防止法では「ばい煙」として挙げられる物質は以下の3つです。
- いおう酸化物
- ばいじん
- 有害物質(カドミウム、塩素、弗化水素、鉛その他の人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある物質)
それぞれに排出基準が定められています(大気汚染防止法第3条第1項参照)。
一方、大気汚染防止法第四条第1項によると、
「ばいじん」と「有害物質」に関しては、条件によっては、定められている排出基準よりもきびしく許容限度を定めることができます。
都道府県は、当該都道府県の区域のうちに、その自然的、社会的条件から判断して、ばいじん又は有害物質に係る前条第一項又は第三項の排出基準によつては、人の健康を保護し、又は生活環境を保全することが十分でないと認められる区域があるときは、その区域におけるばい煙発生施設において発生するこれらの物質について、政令で定めるところにより、条例で、同条第一項の排出基準にかえて適用すべき同項の排出基準で定める許容限度よりきびしい許容限度を定める排出基準を定めることができる。
大気汚染防止法第四条第1項より引用
しかし、「いおう酸化物」に関しては定められていません。
よって、正解は「4 いおう酸化物」でした。
問3 大気汚染防止法(2)
問3
大気汚染防止法第15条に規定される燃料の使用に関する記述の(ア)~(オ)
に入る語句のうち、誤っているものを一つ選べ。
第十五条 (ア)は、いおう酸化物に係るばい煙発生施設で(イ)燃料の使用量に
著しい変動があるものが(ウ)として政令で定める地域に係るいおう酸化物による
著しい大気の汚染が生じ、又は生ずるおそれがある場合において、当該地域におけ
るいおう酸化物に係るばい煙発生施設において発生するいおう酸化物を大気中に排
出する者が、当該ばい煙発生施設で(エ)に適合しない燃料の使用をしていると認
めるときは、その者に対し、期間を定めて、(エ)に従うべきことを(オ)。
- (ア)都道府県知事
- (イ)天候により
- (ウ)密集して設置されている地域
- (エ)燃料使用基準
- (オ)勧告することができる
解答
2 (イ)天候により
正しくは「季節により」になります。
都道府県知事は、いおう酸化物に係るばい煙発生施設で季節により燃料の使用量に著しい変動があるものが密集して設置されている地域として政令で定める地域に係るいおう酸化物による著しい大気の汚染が生じ、又は生ずるおそれがある場合において、当該地域におけるいおう酸化物に係るばい煙発生施設において発生するいおう酸化物を大気中に排出する者が、当該ばい煙発生施設で燃料使用基準に適合しない燃料の使用をしていると認めるときは、その者に対し、期間を定めて、燃料使用基準に従うべきことを勧告することができる。
大気汚染防止法第十五条より引用
問4 水質汚濁防止法(1)
問4
水質汚濁防止法第14条に規定される排出水の汚染状態の測定等に関する記述の
(ア)~(オ)に入る文章A~Eの組合わせのうち、正しいものを一つ選べ。
第十四条 排出水を排出し、又は特定地下浸透水を浸透させる者は、環境省令で
定めるところにより、当該排出水又は特定地下浸透水の(ア)。
2 総量規制基準が適用されている指定地域内事業場から排出水を排出する者は、
環境省令で定めるところにより、当該排出水の(イ)。
3 前項の指定地域内事業場の設置者は、あらかじめ、環境省令で定めるところ
により、(ウ)。
4 排出水を排出する者は、当該公共用水域の水質の汚濁の状況を考慮して、
(エ)。
5 有害物質使用特定施設を設置している者又は有害物質貯蔵指定施設を設置し
ている者は、当該有害物質使用特定施設又は有害物質貯蔵指定施設について、
環境省令で定めるところにより、(オ)。
A:当該特定事業場の排水口の位置その他の排出水の排出の方法を適切にしなけ
ればならない。
B:定期に点検し、その結果を記録し、これを保存しなければならない。
C:汚濁負荷量の測定手法を都道府県に届け出なければならない。届出に係る測定
手法を変更するときも、同様とする。
D:汚濁負荷量を測定し、その結果を記録し、これを保存しなければならない。
E:汚染状態を測定し、その結果を記録し、これを保存しなければならない。
1 ア―A、イ―D、ウ―E、エ―B、オ―C
2 ア―D、イ―C、ウ―B、エ―E、オ―A
3 ア―E、イ―D、ウ―C、エ―A、オ―B
4 ア―D、イ―E、ウ―C、エ―B、オ―A
5 ア―C、イ―E、ウ―B、エ―A、オ―D
解答
2 ア―D、イ―C、ウ―B、エ―E、オ―A
本文は以下の通りです。
排出水を排出し、又は特定地下浸透水を浸透させる者は、環境省令で定めるところにより、当該排出水又は特定地下浸透水の汚染状態を測定し、その結果を記録し、これを保存しなければならない。
2 総量規制基準が適用されている指定地域内事業場から排出水を排出する者は、環境省令で定めるところにより、当該排出水の汚濁負荷量を測定し、その結果を記録し、これを保存しなければならない。
3 前項の指定地域内事業場の設置者は、あらかじめ、環境省令で定めるところにより、汚濁負荷量の測定手法を都道府県知事に届け出なければならない。届出に係る測定手法を変更するときも、同様とする。
4 排出水を排出する者は、当該公共用水域の水質の汚濁の状況を考慮して、当該特定事業場の排水口の位置その他の排出水の排出の方法を適切にしなければならない。
5 有害物質使用特定施設を設置している者又は有害物質貯蔵指定施設を設置している者は、当該有害物質使用特定施設又は有害物質貯蔵指定施設について、環境省令で定めるところにより、定期に点検し、その結果を記録し、これを保存しなければならない。
水質汚濁防止法第十四条より引用
問5 水質汚濁防止法(2)
問5
次の1~5の記述の中から、水質汚濁防止法第1条(目的)に規定されていない
ものを一つ選べ。
1 健全な水循環を維持し、又は回復するための施策を包括的に推進すること。
2 工場及び事業場から排出される汚水及び廃液に関して人の健康に係る被害が
生じた場合における事業者の損害賠償の責任について定めること。
3 地下に浸透する水の浸透の規制。
4 生活排水対策の実施を推進。
5 工場及び事業場から公共用水域に排出される水の排出の規制。
解答
1 健全な水循環を維持し、又は回復するための施策を包括的に推進すること。
水質汚濁防止法第1条には以下のことが規定されています。
この法律は、工場及び事業場から公共用水域に排出される水の排出及び地下に浸透する水の浸透を規制するとともに、生活排水対策の実施を推進すること等によつて、公共用水域及び地下水の水質の汚濁(水質以外の水の状態が悪化することを含む。以下同じ。)の防止を図り、もつて国民の健康を保護するとともに生活環境を保全し、並びに工場及び事業場から排出される汚水及び廃液に関して人の健康に係る被害が生じた場合における事業者の損害賠償の責任について定めることにより、被害者の保護を図ることを目的とする。
水質汚濁防止法第一条より引用
1 健全な水循環を維持し、又は回復するための施策を包括的に推進すること。
に関しては規定されていないので、正解は1になります。
ちなみに1の文章は、「水循環基本法」という法律に規定されている文章になります。