環境計量士(濃度)

第70回計量士国家試験問題の正解と解説【環化 問6~10】

2019年12月に実施された「第70回計量士国家試験問題」の解答と解説になります。

 

問題文及び解答は経済産業省のHPにある「過去の計量士国家試験問題」から引用しています。

 

解説は私の見解になります。解説が間違っている可能性もありますので、予めご了承ください。

 

どうやって勉強を進めればいいのかわからない方はこちらの記事も読んでみて下さい。

環境計量士とは?取得までのロードマップも解説!

 

問6~10の内容は?

「環境計量に関する基礎知識(化学)」の問6~10の内容は以下の通りです。

  • 問6 原子の電子配置
  • 問7 pHの計算
  • 問8 pHの計算
  • 問9 共有結合
  • 問10 化学計算

問6 原子の電子配置

問6

原子の電子配置は次の例のように表される。

 例:ほう素原子(原子番号5)の電子配置 1s22s22p1

クロム原子(原子番号24)の基底状態の電子配置として、正しいものを1~5の中から一つ選べ。

  1.  1s22s22p63s23p63d6
  2.  1s22s22p63s23p63d54s1
  3.  1s22s22p63s23p63d44s2
  4.  1s22s22p63s23p64s14p5
  5.  1s22s22p63s23p64s24p4

 

 

解答と解説

2. 1s22s22p63s23p63d54s1

 

電子配置の問題になります。

電子配置を決めるうえでのルールは以下の通りです。

  1. 低エネルギーの電子軌道から電子が入っていく
  2. 同じエネルギーの軌道にはまず電子が1個ずつ充填されて不対電子が最大となるような電子配置をとる(フントの規則
  3. 例外のパターンが存在する

  

それぞれの軌道に振り分けられる電子の数は以下の通りです。

  • s軌道:2個
  • p軌道:6個
  • d軌道:10個
  • f軌道:14個

そして、原子番号の数ぶん、1s22s22p63s23p6・・・という順番で電子が入っていきます。

各元素の電子配置を周期表で確認できるサイトがあるので、ぜひ参考にしてみてください。

https://ptable.com/?lang=ja#%E9%9B%BB%E5%AD%90

 

で、今回のCrの電子配置をこのサイトで確認してみると、

1s22s22p63s23p63d6だと思いきや、

1s22s22p63s23p63d54s1ですね。

 

なぜなのかというと、

完全に充填されていない3d軌道を占めるより、

高エネルギー側の4s軌道に電子が入った方が電子間反発が小さくなるからだといわれています。

 

こういった例外のパターンもあるので、必ず覚えておきましょう。 

  

問7 pHの計算

問7

0.10 mol L-1酢酸水溶液75 mlと0.10 mol L-1水酸化ナトリウム水溶液25 mLを混合して緩衝液を調製した。この緩衝液のpHは幾らか。次の中から最も近いものを一つ選べ。ただし、酢酸のpKaは4.75とする。なお、pKa=-log10KaKa: 酸解離定数)である。また、必要ならばlog102=0.30を用いよ。

1 4.15
2 4.45
3 4.75
4 5.05
5 5.35

 

 

解答と解説

2 4.45

 

緩衝液のpHを求める問題です。

H+とA-に解離する弱酸HAは以下の平衡式で表されます。

HA ⇌ H+ + A

この式が成り立つとき、

解離定数とpHの関係は以下の式で表されます。

pH = pKa + log ([A]/[HA])

この式は「ヘンダーソン-ハッセルバルヒの式」といいます。

pHを求める上で非常に重要な式なので、必ず覚えましょう。

 

そして今回は酢酸と水酸化ナトリウムを混合して作られた緩衝液です。

2つの物質は酢酸ナトリウムと水になります。

CH3COOH → CH3COO + H+

NaOH → Na+ + OH

CH3COOH + NaOH → CH3COONa + H2O

 

ヘンダーソン-ハッセルバルヒの式」にあてはめると、

pH = pKa + log ([CH3COO]/[CH3COOH])

になります。

問題文より、酢酸のpKaは「4.75」と示されています。

[CH3COO] = (0.10 mol L-1) × 25 ml = 2.5 mmol

[CH3COOH] = (0.10 mol L-1) × 75 ml ー (0.10 mol L-1) × 25 ml = 5 mmol

pH = 4.75 + log (2.5/5) = 4.75 ー 0.30 = 4.45

問8 pHの計算

問8

1.0×10-3 mol L-1のMgSO4水溶液に塩基を加えてpHを上昇させたとき、Mg(OH)2の沈殿が生じ始めるpHは幾らか。次の中から最も近いものを一つ選べ。ただし、塩基を加えたときの水溶液の体積変化は無視できるものとする。また、Mg(OH)2の溶解度積を[Mg2+][OH-]2=1.0×10-11 (mol L-1)3とする。

  1.  8
  2.  9
  3.  10
  4.  11
  5.  12

 

解答

3. 10

 

 

問9 共有結合

問9

ベンゼンでは6個の等価な炭素原子が、炭素原子1個あたり3個の価電子を互いに共有した環構造を形成するので、炭素ー炭素原子間で共有される電子の数をベンゼン分子全体で平均すると3個となる。1~5の物質中の結合に関して、二原子間で共有される電子の平均の数がベンゼンの炭素ー炭素原子間と同じものを一つ選べ。

  1.  グラファイトの炭素ー炭素原子間
  2.  ダイヤモンドの炭素ー炭素原子間
  3.  ポリエチレンの炭素ー炭素原子間
  4.  酸素分子の酸素ー酸素原子間
  5.  オゾンの酸素ー酸素原子間

 

 

解答

5 オゾンの酸素ー酸素原子間

 

問10 化学計算

問10


濃度を示す量についての関係式として、正しいものを次の中から一つ選べ。

なお、それぞれ反成分の洋室と溶媒から調製した溶液に関する、SI基本単位(kg、m、mol)ないしその組立単位で表した量について考えるものとする。

  1.  溶質の質量分率=溶質の質量濃度×溶液の密度
  2.  溶質の物質量濃度=溶質の物質量÷溶液の質量
  3.  溶質の質量濃度=溶質の物質量濃度×溶質のモル質量
  4.  溶質の物質量分率=溶質の物質量÷溶媒の物質量
  5.  溶質の物質量分率=溶質の体積分率

 

 

解答

3 溶質の質量濃度=溶質の物質量濃度×溶質のモル質量

 

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