環境計量士(濃度)

第71回計量士国家試験問題の正解と解説【環濃 問21~25】

2020年12月に実施された「第71回計量士国家試験問題」の解答と解説になります。

問題文及び解答は経済産業省のHPにある「過去の計量士国家試験問題」から引用しています。

 

解説は私の見解になります。解説が間違っている可能性もありますので、予めご了承ください。

 

どうやって勉強を進めればいいのかわからない方はこちらの記事も読んでみて下さい。

環境計量士とは?取得までのロードマップも解説!

 

問21~25の内容は?

「化学分析概論及び濃度の計量」の問21~25の内容は以下の通りです。

  • 問21 高速液体クロマトグラフィー
  • 問22 ICP発光分光分析
  • 問23 質量分析計
  • 問24 用水・排水中の揮発性有機化合物
  • 問25 大気中の浮遊粒子状物質

問21 高速液体クロマトグラフィー

問21

「JIS K 0124 高速液体クロマトグラフィー通則」に関する次の記述の中から、誤っているものを一つ選べ。

  1. 分離度とは、目的成分のピークと隣接するピークとの強度の比をいう。
  2. 溶離液とは、カラムに保持されている分析種を展開、溶出させる移動相として用いる液体のことである。
  3. 基本的な装置の構成要素として、移動相送液部、試料導入部、分離部、検出部、データ処理部などがある。
  4. 手動で試料を導入する際に、一定容量を計量して導入するため、試料ループを使用することができる。
  5. 移動相に溶解している空気を除去し、気泡の発生による流量やバックグラウンドの不安定化を防ぐために、脱気装置が用いられる。

正解と解説

1 分離度とは、目的成分のピークと隣接するピークとの強度の比をいう。

分離度とは、以下のことをいいます。

目的成分のピークが隣接するピークからどの程度分離しているかを示す尺度。

「JIS K 0124 高速液体クロマトグラフィー通則」より引用

日本産業標準調査会のページでは、JIS規格を閲覧することができます(閲覧には登録が必要です)。

問22 ICP発光分光分析

問22

「JIS K 0102 工場排水試験方法」に規定されている分析法において、ICP発光分光分析法が適用されていないものを、次の中から一つ選べ。

  1. ほう素
  2. 全りん
  3. ナトリウム
  4. すず

 

正解と解説

2 全りん

全りんの測定方法は、

  1. ペルオキソ二硫酸カリウム分解法
  2. 硝酸ー過塩素酸分解法
  3. 硝酸ー硫酸分解法

と定められていますが、測定装置はどれも「分光光度計又は光電光度計」を用います。

日本産業標準調査会のページでは、JIS規格を閲覧することができます(閲覧には登録が必要です)。

問23 質量分析計

問23

質量分析計による測定方法に関する次の記述の中から、誤っているものを一つ選べ。

  1. 設定した質量範囲を設定した走査速度で繰り返し走査し、走査ごとに質量スペクトルを採取・記録する方法を全イオン検出法という。
  2. 分析種に応じて、あらかじめ決めた特定の質量電荷比(m/z)のイオンを検出する方法を選択イオン検出法という。
  3. 特定のプリカ―サイオンを第一アナライザーで選択し、そのイオンから生じる特定のプロダクトイオンを選んで分離・検出する方法を選択反応検出法という。
  4. 特定のプロダクトイオンを第二アナライザーで選択し、そのイオンを生じるプリカ―サイオンを検出する方法をプロダクトイオンスキャン法という。
  5. 高分解能質量分析計による精密質量の測定結果から分子の組成式を推定できる。

正解と解説

 4 特定のプロダクトイオンを第二アナライザーで選択し、そのイオンを生じるプリカ―サイオンを検出する方法をプロダクトイオンスキャン法という。

 

 

問24 用水・排水中の揮発性有機化合物

問24

 「JIS K 0126 用水・排水中の揮発性有機化合物試験方法」に規定されている試料の採取及び取扱いに関する次の記述の中から、誤っているものを一つ選べ。

  1. 試料容器は、40 mL~500 mLのガラス製ねじ蓋付容器とし、ねじ蓋には四ふっ化エチレン樹脂フィルム(又は同等の品質のもの)で内ばりしたものを用いる。
  2. 試料容器は、あらかじめメタノール(又はアセトン)及びトルエン(又はジクロロメタン)で洗浄した後、105 ℃±2 ℃で約3時間加熱し、試験環境からの汚染の影響を受けないようにデシケーター中で放冷する。
  3. 試料を、試料容器に泡立てないように移し入れ、気泡が残らないように満たして密栓する。
  4. ホルムアルデヒドの試験に用いる試料は、精製水及びアセトンで洗浄したガラス容器に泡立てないように静かに採取し、満水にして直ちに密栓する。
  5. 試験は試料採取後直ちに行う。直ちに行えない場合には、4 ℃以下の暗所で凍結させないで保存し、できるだけ早く試験する。

 

正解と解説

2 試料容器は、あらかじめメタノール(又はアセトン)及びトルエン(又はジクロロメタン)で洗浄した後、105 ℃±2 ℃で約3時間加熱し、試験環境からの汚染の影響を受けないようにデシケーター中で放冷する。

 

 

問25 大気中の浮遊粒子状物質

問25

「JIS B 7954 大気中の浮遊粒子状物質自動計測器」に関する次の記述の中から、誤っているものを一つ選べ。

  1. 環境基本法に基づく大気の汚染に係る環境基準に関する浮遊粒子状物質とは、大気中に浮遊する粒子状物質で、その粒径が1 μm以下のものをいう。
  2. ベータ線吸収方式は、ろ紙上に捕集した粒子によるベータ線の吸収量の増加から質量濃度としての指示値を得るものである。
  3. ベータ線吸収方式で用いるベータ線源の放射能は、3.7×106 Bq以下であり、放射線障害防止法に規定された「放射性同位元素」には該当しないが、その取扱いには注意しなければならない。
  4. 圧電天びん方式は、粒子を静電的に水晶振動子上に捕集し、質量の増加に伴う水晶振動子の振動数の変化量から質量濃度を求めるものである。
  5. フィルタ振動方式は、ろ紙上に捕集した粒子による円すい状振動子の振動数の低下から質量濃度としての指示を得るものである。

注:現在、放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律(放射線障害防止法)は、放射性同位元素等の規制に関する法律に改称されています。この法律の名称に関する内容は問題の対象外とする。

 

正解と解説

1 環境基本法に基づく大気の汚染に係る環境基準に関する浮遊粒子状物質とは、大気中に浮遊する粒子状物質で、その粒径が1 μm以下のものをいう。

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