2020年12月に実施された「第71回計量士国家試験問題」の解答と解説になります。
問題文及び解答は経済産業省のHPにある「過去の計量士国家試験問題」から引用しています。
解説は私の見解になります。解説が間違っている可能性もありますので、予めご了承ください。
どうやって勉強を進めればいいのかわからない方はこちらの記事も読んでみて下さい。
問11~15の内容は?
「計量管理概論」の問11~15の内容は以下の通りです。
- 問11 トレーサビリティと不確かさ
- 問12 測定標準とトレーサビリティ
- 問13 校正
- 問14 測定器の定期校正
- 問15 SN比
問11 トレーサビリティと不確かさ
問11
トレーサビリティと不確かさに関する次の記述の中から、正しいものを一つ選べ。
- 組立量は、測定結果のトレーサビリティを確保することはできない。
- 測定結果のトレーサビリティの確保は、与えられた目的に対して不確かさが十分であることを保証する。
- 測定標準に付与された値の不確かさは、その測定標準を用いて行った校正の不確かさを表している。
- 国家計量標準機関が測定標準を供給している量以外の量に関しては、測定結果のトレーサビリティを確保することはできない。
- 測定結果のトレーサビリティを確保していることの証明として、トレーサビリティの経路を示すトレーサビリティ体系図は必ずしも必要ではない。
正解と解説
5 測定結果のトレーサビリティを確保していることの証明として、トレーサビリティの経路を示すトレーサビリティ体系図は必ずしも必要ではない。
問12 測定標準とトレーサビリティ
問12
測定標準とトレーサビリティに関する次の記述の中から、誤っているものを一つ選べ。
- 参照標準とは、ある組織又はある場所において、ある与えられた種類の量の他の測定標準を校正するために指定された測定標準のことである。
- 測定標準は、量の値とその不確かさが明確になっていることが必要である。
- トレーサビリティとは、個々の校正が不確かさに寄与する、切れ目なく連鎖した、文書化された校正を通して、測定結果を参照基準に関係付けることができる測定結果の性質のことである。
- トレーサビリティの確保のためには、校正対象の測定器による繰返し測定のばらつきが、校正に用いる測定標準の不確かさに比べて十分に小さい必要がある。
- 認証標準物質をもとに作成し、かつ不確かさが明確になっている標準物質は、測定標準として分析機器の校正に用いることができる。
正解と解説
4 トレーサビリティの確保のためには、校正対象の測定器による繰返し測定のばらつきが、校正に用いる測定標準の不確かさに比べて十分に小さい必要がある。
問13 校正
問13
校正に関する次の記述の中から、誤っているものを一つ選べ。
- 校正を実施するためには、表記された量の値及びその不確かさを持つ何らかの測定標準が必要である。
- 校正の第一段階は、測定標準が与える値と測定器の指示値との間の不確かさを伴う関係を確立することである。
- 測定標準が与える値とその値に対応する測定器の指示値の関係を表す関係式に利用される関数は多項式のみである。
- 測定標準が与える値とその値に対応する測定器の指示値の関係を表す関係式を決定するための手法に最小二乗法がある。
- 校正の第二段階は、測定器の指示値から測定結果を得るための関係を確立することである。
正解と解説
3 測定標準が与える値とその値に対応する測定器の指示値の関係を表す関係式に利用される関数は多項式のみである。
問14 測定器の定期校正
問14
「JIS Z 9090 測定ー校正方式通則」に基づいた測定器の定期校正について述べた次の記述の中から、誤っているものを一つ選べ。
- 「点検及び修正を行う校正方式」での定期校正では、測定器の誤差の大きさを調べる点検を定期的に行い、判明した誤差の大きさがあらかじめ決めておいた限界値を超えたときには、校正式を求め直す修正を行う。
- 「点検及び修正を行う校正方式」以外の定期校正の方式として、「点検だけ行う校正方式」、「修正だけ行う校正方式」、点検も修正も行わない「無校正の校正方式」がある。
- 校正式を求め直す修正に用いる測定標準は、点検に用いる測定標準とは別のものを使用しなければならない。
- 「点検だけを行う校正方式」では、定期的な点検において判明した誤差の大きさがあらかじめ決めておいた限界値を超えたとき、その測定器を廃棄し、新しい測定器と交換する。
- 「無校正の校正方式」では、あらかじめ決めておいた測定器の使用期間を超えたとき、予防保全的にその測定器を廃棄し、新しい測定器と交換する。
正解と解説
3 校正式を求め直す修正に用いる測定標準は、点検に用いる測定標準とは別のものを使用しなければならない。
問15 SN比
問15
値の異なる測定標準 M があり、その測定標準を測定したときの測定器の指示値 y、指示値の誤差をεとし、yとMの関係式として y=α+βM+εを仮定する(α:y切片)。このとき、測定のSN比ηは、傾きβの二乗β2と指示値の誤差εの分散σ2から計算することができる。このような測定のSN比に関する次の記述の中から、誤っているものを一つ選べ。
- 測定のSN比は、η=β2/σ2として計算する。
- 二種類の測定器が同一の測定対象量を測っている場合、それぞれの測定器の指示値の単位が異なっていても、SN比を用いて性能の良否を比較することができる。
- 測定のSN比は、測定標準の単位の二乗の逆数と同じ次元を持っている。
- 測定のSN比をデシベル変換(対数変換)する場合、デシベル変換後のSN比は、常に正の値になる。
- 二つの測定器の性能を測定のSN比により比較する場合、SN比が大きい測定器を選択するとよい。
正解と解説
4 測定のSN比をデシベル変換(対数変換)する場合、デシベル変換後のSN比は、常に正の値になる。