2020年12月に実施された「第71回計量士国家試験問題」の解答と解説になります。
問題文及び解答は経済産業省のHPにある「過去の計量士国家試験問題」から引用しています。
https://www.meti.go.jp/policy/economy/hyojun/techno_infra/23_kakomon.html
解説は私の見解になります。解説が間違っている可能性もありますので、予めご了承ください。
どうやって勉強を進めればいいのかわからない方はこちらの記事も読んでみて下さい。
問21~25の内容は?
「計量管理概論」の問21~25の内容は以下の通りです。
- 問21 工程管理(1)
- 問22 製品の検査
- 問23 管理図
- 問24 工程管理(2)
- 問25 JIS規格
問21 工程管理(1)
問21
ある組立工程での一ヶ月間に発生した不適合品を原因別に層別し、原因別度数と、度数の多い原因から順に合計した累積相対度数を求めた次のグラフがある。このグラフに関する下の記述の中で、誤っているものを一つ選べ。
- このようなグラフをパレート図という。
- 不適合の原因は、ねじかじり、寸法不適合、穴位置違いの順に多い。
- ねじかじり、寸法不適合、穴位置違いだけで、不適合全体の80%以上を占めている。
- 不適合の主な原因が把握できたので、不適合品の数を減らすために、ねじかじり、寸法不適合、穴位置違いの三つの原因に対して重点的に対策を講じることにする。
- 縦軸を、不適合品度数から不適合による損失を金額に換算した値に代えてグラフ化することは望ましくない。
正解と解説
5 縦軸を、不適合品度数から不適合による損失を金額に換算した値に代えてグラフ化することは望ましくない。
問22 製品の検査
問22
検査の方式に関する次の記述の中で、誤っているものはどれか、1つ選べ。
- 全数検査は、検査対象が検査で破壊されない特性の場合にのみ使える方式である。
- 全数検査とは、検査対象品の全数について、仕様で定めた全ての項目を検査する方式のことである。
- 全数検査や抜取検査等の検査方式の選択は、検査の目的やコストを十分に考慮して行うことが必要である。
- 抜取検査では、実際に検査をしていない製品についても「適合」か「不適合」の判断がされる。
- 抜取検査では、抜き取った検査対象品に不適合品が含まれていても、それが検査基準で定めた個数以下であれば、そのロット全体は「適合」と判定される。
正解と解説
2 全数検査とは、検査対象品の全数について、仕様で定めた全ての項目を検査する方式のことである。
問23 管理図
問23
管理図に関する次の記述の空欄(ア)~(エ)に入る語句の組合せとして、正しいものを一つ選べ。
「JIS Z 9020-1 管理図-第1部:一般指針」では、管理図は「連続したサンプルから計算した統計量の値を特定の順序で打点し、その値によって工程の管理を進め、変動を低減し、維持管理するための(ア)を含んだ図」と定義されている。すなわち、管理図は、統計量の値を時間順やサンプル番号順などでグラフ上に打点してデータの変化を示し、工程の変動や安定性などの変化を捉えやすくするために用いられる。
管理図は、計量管理で重要な役割を果たしているが、管理図には(イ)のデータを用いる場合、(ウ)のデータを用いる場合があり、データの種類によって用いられる管理図はさまざまである。例えば、(xバー)管理図は、製品特性の測定値の(エ)をプロットしたもので、(イ)のデータを用いる管理図である。また、不適合品数など、数えられたデータを示す(ウ)を用いる管理図には、c管理図、np管理図などがある。
- (ア)管理限界 (イ)計量値 (ウ)計数値 (エ)平均値
- (ア)許容差 (イ)計数値 (ウ)計量値 (エ)平均値
- (ア)管理限界 (イ)計量値 (ウ)計数値 (エ)範囲
- (ア)許容差 (イ)計量値 (ウ)計数値 (エ)平均値
- (ア)管理限界 (イ)計数値 (ウ)計量値 (エ)範囲
正解と解説
1 (ア)管理限界 (イ)計量値 (ウ)計数値 (エ)平均値
問24 工程管理(2)
問24
ある製造工程では、作られている製品の特性を一定のチェック間隔で測定して、工程の状態をチェックしている。この工程において、測定値yの製品特性の目標値mからのずれδ (δ=|y-m|)の大きさが、あらかじめ決められた調整限界を超えていれば、そのずれをゼロに近づけるように工程の調整を行い、超えていなければそのまま工程を動かす管理方式を採用している。このとき、製品の測定、工程の調整にもコストがかかり、製品一個あたりについて、製品を測定するためのコストをB、工程を調整するためのコストをCとする。さらに、δの二乗平均をσ2で表せば、製品の特性が目標値からずれたことで発生する製品一個あたりの社会的損失L (L=kσ2、k:損失に関する定数)が求められる。
この管理方式の管理にかかるコストB及びCと、その結果作られる製品が目標値よりずれたことで発生する社会的損失Lとの和として、この管理方法の総合的な損失Qが求められる。この総合的な損失Qを小さくするように管理方法を最適化することができる。
Q=B+C+L
この考え方に基づく工程の管理方法の最適化に関する次の記述の中から、誤っているものを一つ選べ。
- チェック間隔と調整限界は、工程管理の最適化のためのパラメータとなる。
- チェック間隔を短くすると工程のドリフトが早く調整できるが、測定回数が増えるのでBとLはともに大きくなる。
- 調整限界を小さくすれば、調整の頻度は上がり、Cは大きくなるが、工程のドリフトを早く調整できるためLは小さくなる。
- 測定の精確さは、製品の目標値からのずれの二乗平均σ2に影響を与え、さらにLにも影響を与える。
- 現行のQと最適な管理方式のパラメータから求めたQとを比較することにより、最適な管理方式が、現行の工程管理方式よりどの程度改善されるかを定量的に推定できる。
正解と解説
2 チェック間隔を短くすると工程のドリフトが早く調整できるが、測定回数が増えるのでBとLはともに大きくなる。
問25 JIS規格
問25
2019年(令和元年)7月1日より、JISと通称される規格は日本工業規格から日本産業規格へと名称が改められた。日本産業規格は産業標準を全国的に統一し、又は単純化することによって、鉱工業品等の品質の改善、生産能率の増進その他生産等の合理化、取引の単純公正化及び使用又は消費の合理化を図り、あわせて公共の福祉の増進に寄与することを目的としている。日本産業規格に関する次の記述の中から、正しいものを一つ選べ。
- 日本産業規格は任意標準であり、日本産業規格に適合しない製品の製造・販売・使用や、適合しない方法の使用などを禁ずるものではない。ただし、法令が日本産業規格を引用する場合、強制標準に準じる強制力をもつことがある。
- 電磁的記録などのデータや役務などのサービスは日本産業規格の標準化の対象分野ではない。
- 国及び地方公共団体が鉱工業品を買い入れるとき、日本産業規格を尊重して仕様を定める必要はない。
- 主務大臣の登録を受けた者の認証を受けずに日本産業規格への適合の表示を行った場合の罰則はない。
- 経済産業省内に日本産業規格に関する調査審議を行うための日本産業標準調査会が設置されているので、日本産業規格の主務大臣は経済産業大臣のみである。
正解と解説
1 日本産業規格は任意標準であり、日本産業規格に適合しない製品の製造・販売・使用や、適合しない方法の使用などを禁ずるものではない。ただし、法令が日本産業規格を引用する場合、強制標準に準じる強制力をもつことがある。