環境計量士(濃度)

第70回計量士国家試験問題の正解と解説【環濃 問11~15】

2019年12月に実施された「第70回計量士国家試験問題」の解答と解説になります。

問題文及び解答は経済産業省のHPにある「過去の計量士国家試験問題」から引用しています。

https://www.meti.go.jp/policy/economy/hyojun/techno_infra/23_kakomon.html

 

解説は私の見解になります。解説が間違っている可能性もありますので、予めご了承ください。

 

どうやって勉強を進めればいいのかわからない方はこちらの記事も読んでみて下さい。

環境計量士とは?取得までのロードマップも解説!

 

問11~15の内容は?

「化学分析概論及び濃度の計量」の問11~15の内容は以下の通りです。

  • 問11 排ガス中の酸素自動計測器
  • 問12 物質量の計算
  • 問13 排ガス試料採取方法
  • 問14 排ガス中のVOC
  • 問15 ガス分析装置校正方法

問11 排ガス中の酸素自動計測器

問11

「JIS B 7983 排ガス中の酸素自動計測器」に規定されている計測器に関して、次の記述の中から誤っているものを一つ選べ。

  1. 磁気式の計測器には、磁気風方式と磁気力方式がある。
  2. 試料採取部の構成要素としては、採取管、粗フィルタ、導管、微フィルタなどがある。
  3. ゼロドリフトとは、「計測器の最小目盛に対する指示値のある期間内の変動」のことである。
  4. 干渉成分の影響について試験を行う際の試験用ガスは、磁気風方式とジルコニア方式のどちらの計測器とも同一組成のものを用いる。
  5. ジルコニア方式は、電気化学式の一方式である。

 

正解と解説

4 干渉成分の影響について試験を行う際の試験用ガスは、磁気風方式とジルコニア方式のどちらの計測器とも同一組成のものを用いる。

日本産業標準調査会のページでは、JIS規格を閲覧することができます(閲覧には登録が必要です)。

 

問12 物質量の計算

問12

H形の陽イオン交換樹脂0.50 g(乾燥質量)をカラムに詰めた。そこにNaCl水溶液を十分に流してH+をすべて溶出させた。この溶出液の全量を0.20 mol/LのNaOH水溶液で滴定したところ、中和するのに5.0 mLを要した。このとき、単位質量あたりの樹脂が保持していたH+の物質量として、最も近いものを次の中から一つ選べ。

  1. 0.20 mmol/g
  2. 0.50 mmol/g
  3. 1.0 mmol/g
  4. 2.0 mmol/g
  5. 4.0 mmol/g

 

正解と解説

4 2.0 mmol/g

 

H形の陽イオン交換樹脂とNaCl水溶液との反応及び溶出液の中和反応は以下の反応式で表されます。

  1. R-H + NaCl → R-Na + H+ + Cl
  2. H+ + NaOH → Na+ + H2O

消費したNaOHのモル数=H+のモル数」となるので、NaOHのモル数を求めればOKです。

 0.20 mol/L × 5.0 mL × 1/1000 (mL/L) = 1.0 × 10-3 mol      ①

式①のモル数が陽イオン交換樹脂0.50 gの中にあるから、1 gあたりでは、2倍すればOKです。

  2 × 1.0 × 10-3 mol/g = 2.0 × 10-3 mol/g = 2.0 mmol/g

以上から4が正解です。 

問13 排ガス試料採取方法

問13

「JIS K 0095 排ガス試料採取方法」に規定されている連続分析のための前処理部での除湿に関して、次の記述の中から誤っているものを一つ選べ。

  1. 試料ガス中の湿度、分析計の特性、要求測定精度などに応じて除湿器を選択する。
  2. 複数の方式の除湿器を組み合わせて用いてもよい。
  3. 水冷式の除湿器において、冷却温度は規定されていない。
  4. 水分による干渉を受ける分析計では、自然空冷式の除湿器を用いる。
  5. 気液分離器は、凝縮水を試料ガスから速やかに分離させるためのものである。

正解と解説

4 水分による干渉を受ける分析計では、自然空冷式の除湿器を用いる。

 

 

問14 排ガス中のVOC

問14

「JIS B 7989 排ガス中の揮発性有機化合物(VOC)の自動計測器による測定方法」に規定されている測定方法に関する次の記述について、下線を付した(ア)~(ウ)の正誤の組合せとして、正しいものを一つ選べ。

 (ア)排出口から排ガスを容器に(イ)吸引採取した後に、容器中の試料ガスを計測器に導入してVOC濃度を測定する方法で、容器に(ウ)捕集バッグを用いる。試料ガス中のVOC濃度が計測器の測定範囲を超える場合は、測定範囲内の濃度となるように希釈した後に、測定する。

  1. (ア) (イ) (ウ)
  2. (ア) (イ) (ウ)
  3. (ア) (イ) (ウ)
  4. (ア) (イ) (ウ)
  5. (ア) (イ) (ウ)

正解と解説

5 (ア) (イ) (ウ)

 

問15 ガス分析装置校正方法

問15

「JIS K 0055 ガス分析装置校正方法通則」に規定されている校正用ガスを用いた分析装置の校正に関して、次の記述の中から正しいものを一つ選べ。

  1. 校正用ガスは、スパンガス、中間点ガスのみを指す。
  2. スパンガスは、分析装置の所定の測定レンジの、最大目盛付近の目盛値を校正するために用いる。
  3. 中間点ガスは、校正用ガスを調製する際に、目的成分ガスをある濃度に希釈するために用いる。
  4. 高純度物質から一定濃度の校正用ガスを連続的に発生させる方法には、拡散デニューダ法と蒸気圧法がある。
  5. 校正用ガスを分析装置に導入するための配管接続は、できる限り長くする。

 

 

正解と解説

2 スパンガスは、分析装置の所定の測定レンジの、最大目盛付近の目盛値を校正するために用いる。

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