2019年12月に実施された「第70回計量士国家試験問題」の解答と解説になります。
問題文及び解答は経済産業省のHPにある「過去の計量士国家試験問題」から引用しています。
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解説は私の見解になります。解説が間違っている可能性もありますので、予めご了承ください。
どうやって勉強を進めればいいのかわからない方はこちらの記事も読んでみて下さい。
問21~25の内容は?
「計量管理概論」の問21~25の内容は以下の通りです。
- 問21
- 問22
- 問23
- 問24
- 問25
問21 品質管理
問21
品質管理を行う際に用いられる手法に関する次の(ア)から(ウ)の記述について、正誤の組合せとして正しいものを、下の1から5の中から一つ選べ。
(ア)X⁻(Xバー)管理図は、測定した製品の不良率を時系列でプロットしたもので、工程の状態を管理する場合に用いることができる。
(イ)パレート図は、不適合等の発生状況を項目別に集計し、出現頻度の高い順に並べるとともに、累積和を示した図である。不適合に対する対策として重点を置くべきポイントを明らかにする場合などに用いることができる。
(ウ)ヒストグラムは、測定値の存在する範囲をいくつかの区間に分け、各区間を底辺として、その区間に属する測定値の度数に比例する面積をもつ長方形を並べた図である。分布の形やばらつきの視覚的な分析に用いることができる。
- (ア)誤 (イ)正 (ウ)誤
- (ア)誤 (イ)正 (ウ)正
- (ア)誤 (イ)誤 (ウ)正
- (ア)正 (イ)誤 (ウ)誤
- (ア)正 (イ)正 (ウ)誤
正解と解説
2 (ア)誤 (イ)正 (ウ)正
問22
問22
サンプリングに関する次の記述の中から、誤っているものを一つ選べ。
- サンプリングは、対象物質に関してできるだけ真の姿に近い情報が得られるように行う。
- 対象物質は固体、粉体、液体、気体など様々な状態を示すため、その状態を考慮してサンプリング方法を選択する。
- 採取個数や採取量を大きくしても、母集団のパラメータの推定精度は向上しない。
- 安定性が低い対象物質のサンプリングは難しいことが多く、抜き取った標本は母集団を代表していない可能性がある。
- サンプリングが測定に影響を与える要因として、採取時期、採取方法、採取量、試料の保存条件等が考えられる。
正解と解説
3 採取個数や採取量を大きくしても、母集団のパラメータの推定精度は向上しない。
問23 工程管理
問23
工程管理に関する次の記述の中から、誤っているものを一つ選べ。
- 工程管理では、工程で生産された製品特性を一定の範囲内に収めるために、設備や作業の管理・維持をする。
- 公定が安定状態にあるとき、工程で生産される製品の品質について、その達成能力の評価指標として、工程能力指数が用いられる。
- 公定の状態を表す特性値の変動を示した図を管理図といい、工程の安定状態の確保・維持を目的に使用される。
- 管理図において、管理対象となる工程からの試料の採取個数を変えた場合であっても管理限界線の値は再計算しない。
- X⁻(Xバー)ーR管理図は、工程において製品特性の時間的変動の把握に使用する代表的な管理図であり、製品特性の平均およびばらつきの変化を一緒に管理することができる。
正解と解説
4 管理図において、管理対象となる工程からの試料の採取個数を変えた場合であっても管理限界線の値は再計算しない。
問24
問24
次の文章は、損失関数を利用して製造工程の管理を合理的に行おうとする考え方を説明したものである。このような工程管理の方法について述べた記述として誤っているものを下の1から5の中から一つ選べ。
製品品質の定量的指標として用いられる損失関数の考え方によると、ある製品の特性の値がx、その特性の製造目標値がmのとき、その製品はk(x-m)2(kは正の定数)の経済的損失を発生すると考える。ある工程について、そこで作られる製品のxの値はばらつきをもつため、(x-m)2をxについて平均した値をσ2と表すと、この工程は製品1個あたりL1=kσ2の損失を発生すると考えることができる。
一方、この工程を管理するため、製品n個を製造する毎に1個の製品を抜き出してその特性の値xを測定し、|x-m|が事前に定めた管理限界Dを超えていれば|x-m|をゼロにするように工程を調整し、超えていなければ工程を調整せずに製造を継続する。このような、製品を測定したり工程を調整したりするのに要するコストの総額を製品1個あたりに換算した値をL2とする。
工程管理を合理的に行うために、工程管理のパラメータであるn(測定間隔)とD(管理限界)を、上記のL1とL2の和L1+L2を最小化するように決定する。
ただし、工程の調整をしないと(x-m)2の期待値は工程稼働時間に比例して大きくなるものとする。
- L1は、使用者の手にわたった製品が期待通りに機能しないために発生する社会的損失を表していると解釈できる。
- 測定間隔nの値を小さくすれば、測定頻度が増えるためL2は大きくなる。
- 測定間隔nの値を小さくすれば、σ2が小さくなるためL1は小さくなる。
- 管理限界Dの値を小さくすれば、σ2が小さくなるためL1は小さくなる。
- 管理限界Dの値を小さくすれば、工程の調整頻度が減るため、L2は小さくなる。
正解と解説
5 管理限界Dの値を小さくすれば、工程の調整頻度が減るため、L2は小さくなる。
問25
問25
「JIS Z 8002 標準化及び関連活動ー一般的な用語」に記載されている規格の整合について述べた次の文章のうち、(ア)から(ウ)の空欄にあてはまる語句の組合せとして正しいものを、下の1から5の中から一つ選べ。
計測管理を取り巻く環境には、多種多様な規格が用意されている。ここでいう規格とは、与えられた状況において最適な秩序を達成することを目的に、共通的に繰り返して使用するために、活動又はその結果に関する規則、指針又は特性を規定する文書のことである。国際規格、国家規格をはじめとして、団体規格、社内規格などがある。それぞれの規格の運用に当たって、重要になるのが各々の規格の整合である。
整合規格は、同じ主題について異なる(ア)が承認している規格であって、製品、プロセス及びサービスの互換性を確保しているもの、又はこれらの規格に従って得られた試験結果若しくは情報の相互理解を確保しているもののことである。整合規格には、内容及び表現形式の両者が一致している「一致規格」や、内容は一致しているが、表現形式が異なる「(イ)」などがある。また、国際規格と整合している規格のことを「(ウ)」という。
- (ア)認定機関 (イ)部分一致規格 (ウ)国際整合規格
- (ア)認定機関 (イ)内容一致規格 (ウ)比較可能規格
- (ア)標準化団体 (イ)内容一致規格 (ウ)国際整合規格
- (ア)標準化団体 (イ)内容一致規格 (ウ)比較可能規格
- (ア)標準化団体 (イ)部分一致規格 (ウ)比較可能規格
正解と解説
3 (ア)標準化団体 (イ)内容一致規格 (ウ)国際整合規格